清澄庭園のマスコットといっても良いアオサギ

清澄庭園

石と生き物に風情を見出す近代庭園

清澄庭園で注目してほしいのは、石と野生の生き物たちである。

庭園自体は池を周遊するシンプルな構造だ。だがそれを一周する数十分のあいだに、日本各地のさまざまな名石を眺め、同時に「東京にこんな生き物がいたのか」と思えるような体験が待っている。

庭園中央の池

中心の池を回遊する構造になっている

江戸から遡れば、この庭園があった地は豪商の屋敷や、大名の屋敷としても用いられた歴史ある土地だ。

しかし現状の見事な庭園様式となったのは1878年(明治11年)に、三菱財閥の創始者、岩崎弥太郎がこの地を買い上げて以降の話になる。

岩崎が買い上げる前、大名屋敷としてこの庭園がどこまで作り込まれていたのかは定かではない。

確実にわかっていることは、現状の大きな特徴である池のまわりの巨石、名石。これらを日本全国から選んで運び入れ、作庭に用いたのが岩崎自身であるということだ。

伊豆式根島石

日本各地の石が、庭園全体を取り囲むように配置されている

岩崎自慢の石については、 2008年発行の『東京庭園ガイド』の説明が詳しい。

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岩崎家が自社の汽船で全国から集めた名石を圏内に配した。約60にもおよぶ石は、佐渡赤玉石や伊豆川奈磯石、伊予青石など現在は採取禁止となっている入手困難な名石も多い。(中略) どれも一見の価値がある。

引用元東京名園鑑賞会, 『東京庭園ガイド』, 85頁, 2008年, メイツ出版

種類だけでなく、岩崎の創意にも触れたい。彼自身が、作庭の陣頭指揮をとった磯渡り(沢渡石)にそのこだわりが見てとれる。

磯渡り (沢渡石)

一歩すすめるごとに景観が変わる磯渡り。バランスには要注意だ。

園内に数箇所もうけられた磯渡りは、ただ外縁を歩くのと違い、より水辺に近いところで、せせらぎや生き物たちの気配を感じられる。単なる池ではなく、海の「磯」を模そうとした創意だ。

庭園文化研究家、田中昭三の著作よりその特徴を引用したい。

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満々と水をたたえる池に大きな石が曲線状に打たれている。沢渡りは、流れのなかや中島に向かって打たれることが多い。ここでは池に伸びだした苑路という趣があり、家屋でいえば縁側のような役割を果たしている。

引用元田中昭三, 『江戸東京の庭園散歩』, 105頁, 2010年, JTBパブリッシング

ひなたぼっこ中の亀。

ひなたぼっこ中の亀。東京都に歴史建造物指定された数寄屋造りをバックに。

この縁側や池の畔から、鯉や亀、冒頭のアオサギやその他野鳥など、都内にいるとは思えない様々な生き物たちの眺めることができる。

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池では魚や亀、カルガモやメジロ、カワセミ、カイツブリ、オナガ、ムクドリ、ツバメなど、川も海も近いために種類豊富な野鳥を見られる。バードウォッチングする人も多い。

引用元東京名園鑑賞会, 『東京庭園ガイド』, 87頁, 2008年, メイツ出版

海、磯、島、山などが模された庭園という狭い空間において、ひとつの生態系が凝縮されているような錯覚。

日本庭園という小宇宙の醍醐味を、この清澄庭園で味わってほしい。

MAP

PLACE
清澄庭園
TEL
03-3641-5892
ACCESS
東京都江東区清澄3-3-9
URL
http://teien.tokyo-park.or.jp/contents/index033.html
情報更新日: 2018年08月03日

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