多賀野
澄みきった、香り高い”追い煮干し”ラーメン
煮干しラーメンといえば、どうしても独特の、魚っぽい風味があるものだ。それを上手く調和させるラーメンもあれば、あえて煮干し全開の野趣あふれる一杯もある。
しかし、多賀野のラーメンは次元がちがう。
アクが強い/弱いとか、煮干しの味が濃い/さっぱりとか、そういう問題じゃなく本当に、おいしい。
注文して、運ばれてくると、さっそく煮干しが香りたつ。ところがスープを飲むと、深くまろやかな味わいで、そこには煮干し以外の様々な要素を感じる。
ただの煮干しラーメンとは、ちがう旨みがあるのだ。
その秘密を調べると、『ミシュランガイド東京2017』と、2008年のラーメン本『東京絶品ラーメン』の記述にヒントがあった。[1][2]
ポイントは、“追い煮干し”だ。
試行錯誤の末、供する直前に手鍋で温めながら追い煮干しをする方式に変え、香りと味わいが新鮮な中華そばを完成させた。
この店の大きな特徴は、追い鰹にヒントを得た“追い煮干”である。 煮干を袋に入れ、丼にスープを注ぐ前にその煮干を通すことによって、新鮮で香ばしい香りづけをするのである
つまり、煮干しを味のベースにする、いわゆる“煮干しラーメン”と違い、多賀野では煮干しを風味のアクセントとして用いているのだ
(そういう意味で、多賀野を“煮干しラーメン”と記述するのは正確には誤りかもしれない)。
スープべースの構成は、『dancyu』の記述が詳しい。[3]
べースとなる国産豚、地鶏、魚節、煮干し、昆布だけでなく、沖縄 ・粟国の塩、 2年熟成の天然醸造醤油など素材と調味料を厳選。化学調味料はほとんど使わないため、濃くまろやかな旨味を醸しながら、後口はあっさり軽やかだ。
これを見ると、煮干し以外にも多くのこだわりある材料によってつくられた、複雑なスープであることがわかる。
このベースがあるからこそ、“追い煮干し”のアクセントがより際立つに違いない。
多賀野にしかない繊細な味わい。
東京を代表する一杯を、ぜひ確かめてほしい。
MAP
- PLACE
- 多賀野
- TEL
- 03-3787-2100
- ACCESS
- 東京都品川区中延2-15-10
- URL
- http://www.geocities.jp/taganoya/